これまで・・・・。
「何て事をしてるんですか?!」
8年前の役場の会議室で担当者から問われる・・・。
僕は少々うんざりしながらも、顔には出さないように、ザトウクジラの水中写真を見せながら、出来るだけ丁寧に説明していく。数年ごとに変わる担当者には、時折、事なかれ主義の方も居て、始めから無難に収めようという考えの方も多い。その会議には、僕より年配なダイビングの同業者も数人居て、ホエールウォッチングをやった事もないのに、ここぞとばかり一緒に責め立てる・・・。久米島町役場に別の役所からのクレームが入ったらしく、ある会議に呼ばれたのだ・・・。
ホエールウォッチングは、ボートから見る事が常識で、水中で一緒に泳ぐなんて今まで見た事も聞いた事もない人達に、本で読んだ知識や経験して知ったザトウクジラの生態などを交えながら根気よく説明する・・・。…
以前は、新聞にも出したりして少しでも認知してもらおうと行動していたが、他所のエリアのルールの事もあり(皆、凄く熟考されて、そのエリアに合ったルールを作られている)、とてもデリケートな問題なので、表立って派手にやらずに自分が開催出来る範囲でゲストに喜んでもらおうと毎年続けていたホエールスイムのコースの素晴らしさや、久米島ダイビング協力会のホエールウォッチングに対する自主ルールの事、今まで、安全にコースを開催する為にどうやってきたか、止めてしまう事での久米島の観光やこの島で暮らす子供達への未来の可能性を閉ざしてしまう事などの懸念を、熱くならず冷静にとくとくと説明する・・・。
今でこそ、別の新規参入エリア(島)でコースが作られたり、雑誌に掲載されたりで、何となく認知され始めた国内のホエールスイムだが、8年前でさえこうで、20数年前から、毎年、色んなクレームや物議に対応してきた・・・。毎年、何時、このコースを止めなければならないかもしれないという恐怖に近い懸念に苛まれながら、時には疲れ、もう止めてしまおうかという失意と戦いながら・・・。島に暮らす者は、ローカルルールに添いながら、より良くする為に、各々の自主ルールを作り、時にはそのルールに縛られ過ぎて、また熟考する。島で暮らしているのだから逃げだす訳にはいかない・・・。
でも、ただただ好きでやりだした調査から始まったこのコースを開催してきて、相対したり知り合い教え導いてくれた同業者や研究者の方達は、皆、ザトウクジラが大好きで、それぞれの強い思い入れがあり、僕と同様にザトウクジラの大いなる未来を望み願って止まない方達ばかりだと知った・・・。
今思うと、もし、あの時やその時に止めていれば国内のホェールスイムはなかったかもしれない・・・。
これからも、きっと、ザトウクジラと関わっていく人は、ザトウクジラの事が大好きなのだから、彼らの事を考え、お互いの距離感を保ち、安全に配慮して、見つめ合って欲しいと願う・・・。
毎日、海に出てザトウクジラと一緒に過ごす幸せな時を噛みしめながら、そんな昔の事を思い出していた・・・。
解った事がある・・・そう、生き方の問題なのだ・・・。
川本です。私的なブログで失礼しました・・・・。